こんにちは、中山のりひろです。過日、ルール形成戦略議員連盟は、安倍総理へ官邸の総理執務室を訪ね、政策提言を致しました。以下、私が議員連盟の事務局長として草稿した提言書の内容(の一部)です。

ルール形成戦略議員連盟( 会長・甘利明はじめ自民党国会議員69名)は、現下の国際情勢を鑑み、我が国における戦略的外交・経済政策の司令塔である「国家経済会議(日本版NEC)」の創設を提言する。

国際社会において、経済覇権と安全保障上の勢力拡大を狙い、フィジカル・サイバー・宇宙空間で、革新的な技術や資源(ヒト・モノ・カネ)とルール形成を有機的に駆使する世界戦略が対峙している。米中はハイテク摩擦、データ(デジタル)覇権争いの世界レベルでの激化を牽引し、国家機密から個人情報まで支配する動きが顕著になってきている。

中国は、自国で開発したAI監視カメラによる社会システム「天網」を、他国に対して公共の安全を実現するという大義を打ち出し、既に世界約80カ国・200都市のプロジェクトで関わり、輸出を加速している。併せて、国内外の組織や個人に情報工作活動の協力を義務付けた、国家情報法を制定し、世界規模の諜報活動も可能としている。

また、「一帯一路」経済圏構想は、アジアインフラ投資銀行を起点に国家資本主義を沿線諸国に広げ、債務外交により、内政への影響力も強めている。さらに、最先端技術を有する企業や製品・サービスを巧妙で多様な手口により獲得する動きもあり、インテリジェンス能力をフル活用した経済戦争から日本企業を保全することは急務である。

米国は、日本に先行して冷戦終結直後の1993年から国家経済会議(NEC)を設立しているが、中国のエコノミック・ステイトクラフト(経済的な外交術を操り、安全保障上の国益を追求する手法)に対抗するためにはNECを更に発展させなければならないと考え、再構築に取り組み始めた。具体的には、国防権限法や安全保障に係る最先端基盤技術の輸出規制強化、外国企業の対米投資監視強化など、ファイブアイズ(英加豪ニュージーランド)をはじめ、日独仏は同調が求められ始めている。そして、日本に対してもエコノミック・ステイトクラフトに関するインテリジェンスを共有し、政策を包括的に構想する日本版NECの創設を求める声が上がっている。

世界経済は、異なる政治体制を背景に非対称の企業・組織活動が展開され、安全保障や統治システムを共有する新たな地域、国際秩序が生まれつつある。我が国が主体的に、国際社会の平和・安定・繁栄のため、経済連携と経済制裁、知的財産管理とデータ流通、国際標準やルール形成の時間軸を制御しなければ、世界潮流に埋没する。

本議連では、昨年来、マイケル・グリーン氏(米・元大統領補佐官)、マーカス・ノーランド氏(米・国家経済会議 元エコノミスト)らを招き、米NECの役割等について意見交換を行い、議論を重ねてきた。

ついては、米中のエコノミック・ステイトクラフト戦争の下で我が国が生き抜くために、戦略的外交・経済政策を練り上げる「国家経済会議(日本版NEC)」の創設を提言する。

※ルール形成戦略議員連盟とは

世界市場では国家・企業に有利な「競争のルール」を巧みにつくることによって、市場を支配、あるいは市場の代謝を図る熾烈な駆け引きが展開されています。ルール形成に関して企業・政府の有機的な取り組みとともに、日本の進路を打ち立てていくことを目的として設立した、有志国会議員による政策研究会です。

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