『覇権的圏域を拡張しようとする地政学的リスクを直視し、日本の堅固な進路を。』

我が国は安全保障上の懸念から、世界の工場であり旺盛な消費市場もある、世界へ人や投資を振り向ける中国との関係を見直し、適応することが迫る。

マスクのような衛生用品から医薬品、半導体・蓄電池などの製品、レアアースなどの原材料、それらを支える技術、知的財産、そしてアプリやソフトにも及ふ国際供給網につき、軍事同盟をはじめ基本的な価値を共有する国・地域によって再構築していかなければならない。

人類発展の礎である科学・研究開発分野も他ならない。量子物理学は、宇宙や時空の起源、自然の理を解明し、量子論と情報理論が融合した量子コンピュータ、量子暗号まで進展する。物理空間と仮想空間の根幹を担う研究と言える。その実験研究施設が、日米欧が参画する国際的な科学プロジェクト「国際リニアコライダー」計画である。この施設は世界から第一線の科学者が集う研究拠点となる。

他方、中国は単独で同様の計画を構想し、2030年代の本格稼働を目指している。価値観の異なる政治体制の国家により、神の領域に最も近いと言われる科学分野を制覇されることは危惧せざるを得ない。我が国に拠点をつくり、研究成果の公正な社会実装までを主導すべく進めていきたい。

あわせて、地球課題を解決する萌芽を結実させることが大切だ。

人口増加や経済発展に伴う肉食志向、環境への負荷、家畜の感染病などによる食糧不足に備え、細胞を培養し動物性タンパク質を生産する「細胞農業」。太陽のエネルギーを再現する「核融合」。光と水と二酸化炭素からエネルギーを作り出す「人工光合成」。限りある資源エネルギーが無限へ変換され持続可能となる。

その上で、例えば、生体を模倣したAI搭載のロボット、国家を超え存在感の高まるプラットフォーマー、データ捕捉や統制をも容易にする通貨などのデジタル化につき、生命倫理、個人情報を含む人権、表現の自由や多様性への私たちの価値観を追求する国際政治を展開しなければならない。 結びに、長年、我が国が苛まれている少子化、債務膨張、デフレ悪循環、自然災害を克服するよう弛まず臨んでいきたい。

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